multiple core(マルチプルコア) というブランド

全国でASHOESしか取り扱っていない[multiple core(マルチプルコア)]というブランド。
他のブランドではあまり見かけないディテールや細かなカッティングを駆使してファンを魅了しています。
その中でも、2シーズンに渡って素材を変えてリピートしている side tuck bloom pants。
なぜ、デザイン性があり、無名であるにも関わらずこれほど注目されたのか。
このパンツに隠された狙いだけでなく、
デザイナーが洋服を作る上での思いやブランドを続ける上での拘りまでインタビューさせて頂きました。
multiple core(マルチプルコア)
デザイナー兼パタンナー:田中としみ
大手アパレルのデザイナーを経て、渡英しファッション関連の仕事に従事。
帰国後にビューティービーストに入社し海外コレクションのデザイン・MD・プレス・生産管理に従事。
その後、独立してmultiple coreを立ち上げる。

-改めてですが、宜しくお願いします。それにしても、bloom pantsすごいですね。こうやってシーズンまたぐとは。
デザイナー田中としみ氏(以下、田中 敬称略)
-そうですね。毎シーズン全型パターンを引き直している中で、定番が生まれればと思っていたタイミングだったので。
定番と言っても、よくあるベーシックではなく、ブランドらしさがしっかりと詰まっているものでなければ埋もれてしまうので、その点では未だに実験の途中ですが。
multiple core
multiple core
multiple core
他にはないバランスでありつつ、多数のリピーターを生んでいるside tuck bloom pants
-なるほど。私も2本同じシルエットのパンツを持っていますが、非常に穿きやすいです。
恐らく、相当緻密な計算の上でこのパンツが出来上がっていますよね。
田中
-そうですね。このパンツは前・横・後の3面から見たときにそれぞれ異なった表情になるように工夫しています。
まず生地ですが13AWではウール生地を使っていましたが、14SSと今回使っている生地はペインターパンツや5ポケットパンツでも馴染みのあるヒッコリー生地を使いました。
フロントポケットは片玉縁ポケット仕様にすることでスラックスのように美しく見えるバランスを狙っています。カジュアルに見える素材でありつつ、綺麗に見える要素を加えたということになりますね。
multiple core
フロントポケットの片玉縁仕様
-横は最も特徴的なデザインとして、サイドタックを設けていますよね。これはなかなか珍しいと思うのですが。
田中
-コレクションブランドやレディースブランドではディープタックを取り入れるところが多いですが、ベーシックな発想ではウエストかヒップ部分がほとんどです。元々、平面の物を立体に見せるために用いられるタックやダーツですので、サイドに入れることはまずありません。
今回のサイドタックの役割はシルエットに揺れを持たせることを狙いとしています。商品名の「Bloom=開花、膨らむ」という意味から動きや揺らぎを表現し、他には無いデザインを生み出しています。
-私も私物で穿いているのですが、穿き込むことでタックが開いてきますね。
田中
-それも狙った上のディテールです。買った時と同じ形のままではなく、着ていく毎にシルエットが変化する。2度楽しめるということです。
multiple core
あまり見かけることがない、サイドタックディテール
multiple core
履きこむことで開くサイドタック
-なるほど。このパンツもどうですが、multiple coreのパンツを見ると脇に縫い目が無い、というかちょっと後ろにずれている物が多いと思いますが。
田中
-洋服を平面で作る上で、必ず脇に縫い目を設けることが多い。しかし、いざ仕上がると太さがあったり、長く着ていると生地が引っ張られて太さが出ます。そうすると本来の自分の足の太さ以上に引っ張られたシルエットになる。カジュアルパンツとしては問題ないところですが、シルエットの綺麗さを狙うという点では違います。
multiple core
その点を考え、multiple coreでは穿いた人本来の足のシルエットを生かしつつ主張されすぎないように縫い目をやや後ろに設けています。あわせてこのパンツはヒップ上辺りから前に向かって縫い目をカーブさせることで立体に見せ、足が長く見えるようにも狙っています。
レディースでは体型補正のために視覚効果を用いたディテールが一般的ですが、メンズでも美しく見えるに越したことは無いと思います。
-たしかに好きな洋服を着て、自らのコンプレックスが少しでも解消されているとなれば、一石二鳥ですからね。
田中
-体型補正という点では、サイドタックも役割を担っています。
一つ目の膨らみでお尻の見え方を調整しています。生地が上から覆うようなイメージですね。この膨らみが下がりすぎるとだらしなく見える。上すぎてもだめ。人が穿いてちょうど良い位置にしなければなりません。
二つ目の膨らみはそこから足のシルエットを作っています。細く見せることは比較的簡単なことですが、太さを残しつつ見せるのは難しい。あと、パンツは少しボリュームがある方がバランスをとりやすいですからね。そういう点も考えています。
-なるほど。最後に後ろですが前とは対象的に後ろはカジュアルですよね。
田中
-後ろは前から見たときのスッキリ具合を考慮し、パッチポケットでカジュアルに仕上げています。使っている生地がカジュアルなので、全て綺麗に仕上げるのも少し違うかと。
あとはお尻のやや下にポケットを設けることで、ヒップラインをスッキリさせたり、股下部分を削ることで生地のもたつきをなくしています。この細かい作業で見た目でかなり差がついてきます。こういう感じで綺麗に見えるように数ミリ単位で工夫しています。
-やはり細かいですね。笑
田中
-あとはスニーカーでもブーツでも革靴でも対応できるようテーパードは緩やかにし、太さを出していますので、合わせを気にせずに穿いてもらえれば。
multiple core
左側が新品、右側がスタッフ私物
-実際自分も穿いていて、足元に何を合わせてもしっくりくるのが不思議ですね。
このパンツに限らずですが、multiple coreの服はモード・カジュアル・ストリートの枠にとらわれないですよね。
田中
-そうですね。ブランド名の「multiple」は多面性という意味も含んでおり、あまりカテゴライズされないようにしています。例えば、ルールにとらわれないこと、音楽でいう「ジャズ」のようなニュアンスが近いのかもしれません。ルールに従わず、外したり崩すことも時には必要ですので。
-崩すにしても、洋服がしっかりとしているから可能なことですね。
田中
-ガチッとした物・型にはまったことをやっている人から見ると、変な服と思われるかもしれません。
しかし、単に変な服にならないようにすることが一番大切です。そのため、直感でデザインをした後に、何度も熟考・考察します。そして納得がいった後にサンプル作製に入る。サンプルが仕上がった時には必ず全て試着する。
そもそも人が着る前提で作らなければならないので、着たときにどう見えるかというのが重要です。前・横・後ろの全てから確かめて微調整する。そして最後に少しの「隙間」を残すことで完成させていきます。
-なるほど。
田中
-私も含め、工場の職人さんなどたくさんの人が時間をかけて作り上げた服は、ヘタな装飾をしなくても物が語りかけます。
大量生産されたものにはそれなりの魅力があるとは思いますが、きちんと作られた物に携わってきたからこそ、魂をこめる必要があります。魂がこもっていれば崩しても崩れすぎることはありませんので。
-その本気度が伝わるからこそ、ブランドネームが有名・無名に関係なく買って頂けていると思います。
先程の「カテゴライズされない」バランスは誰でもできるということではないですよね。これまで携わっていたことが幅広いからできると思うのですが、これまではどういったことをやられてきたのでしょう。
田中
-最初はレディースのヤングカジュアル向けカットソーメインのデザイン、その後にミセス系のニット・布帛メインのデザイン、その後ロンドンへ渡りマーケットリサーチをメインに従事、帰国後にコレクションブランドのメンズ・レディスカジュアルラインの海外担当(デザイン・MD・プレス・生産管理など)をやってきました。
デザイナーを始めたばかりの頃はデザイン先行で取り組んでいました。しかし、キャリアを積む中で洋服は人間が着る上でのもの、作り方によって空間の見え方、視覚効果があって面白いことに気付き、作っている間での発想やデザインとパターンをやっている中で生まれるひらめきなどを経験していく上で、作りこむことの楽しさが芽生え、拘ることが大切に感じてきました。それが今につながっていると思います。
-非常に幅広いジャンルで活動されていたのですね。メンズ・レディースを両方やられてきたのは珍しいのですか。
田中
-全くいないという訳ではありませんが、絶対数では少ないと思います。
-イメージですが、メンズではベーシックを重視、レディースでは大胆な発想があると思うのですが、如何でしょう。
田中
-極端な話ですが、レディースでは可愛いければOKということもあります。ですので、メンズではありえないディテールや組み合わせもやってしまうことも。しかし、それはレディースでは受け入れられたとしてもメンズでは受け入れられにくいものが多いです。メンズでここまでやっても大丈夫という感覚も必要。そういう点で、メンズ・レディースの両方をやってきたのは強みにはなっていますね。
multiple core
洋服と身体の間に空間を設けるという、モード・メンズ・レディースのバランス感覚の中から生まれた発想。
-なるほど。その結果、他には無いオリジナリティが出てくるのかもしれませんね。
先程仰られた最後に残す「隙間」という言葉の意味について、もう少しお聞かせ頂けますか?
田中
-理想の洋服というのは、できあがった時点で100%であってはならないと思っています。もちろん、洋服を作る工程でいえば100%で仕上げます。ここでの100%というのは、人が着て初めて100%になるという意味です。
ハンガーにかかっている状況で100%だと、どうしても物として主張してしまう。物が主となると長く着る事がなく、必ず飽きがきます。だからこそ、少しの「隙間」を設けてあげることが必要となります。
この発想は日本人の「粋」の発想に近いのかもしれません。着物だってそう。少しヌケ感を出したほうが奥ゆかしく見える。詩や写真も行間や隙間があるからこそ、そこに様々な思いを想像できる。ガチガチにきめたときよりも、少し崩したときにニュアンスが出る。
洋服も同じように、着たときに自分でスタイリングを考えることができる方が楽しいはずです。もちろん、ベーシックなものであればそれは容易なことですが、それでは物足りない。人とはかぶりたくない。multiple coreにはそんな「隙間」を狙ったアイテムが多いと思います。
もちろん自分でもまだまだ完璧だとは言えませんが、手にとってくれる方が多くなってきたということはこのバランスが調節できているのかもしれません。
-デザインだけ見ると突飛に見えたりもしますが、試着すると一瞬でイメージが変わると言われる理由はこれですね。
田中
-だと思います。デザインが入っている分、アバンギャルドと思われるかもしれませんが、前衛的という言葉はピンときません。アバンギャルドだと物が主張しているイメージになる。そうではなくて、ちょっと変わったものというか(笑)、ウィット感のあるものとなっているので、あまり身構えることなく取り入れてもらいたいですね。
multiple core
ブランドネームタグ
あと、先程も言いましたが、ブランドネームの通りカテゴライズされていない=黒か白ではない曖昧なカラー=グレーという思いもこめて、実は洋服についているブランドネームタグの背景はグレーになっています。お持ちの方は是非一度ご覧下さい。(笑)
-そうだったんですか。(笑) そういうのは先に教えておいて頂かないと。(笑)
田中
-単純にカワイイとかで選んでいませんので。(笑)
-最後となりましたが、まだmultiple coreを買われたことのない方へのメッセージなどを。
田中
-是非とも色々組み合わせて楽しで下さい。メンズのパンツは特にバリエーションが少ない。パンツはスタイリングの7割を占めるといっても過言ではありません。だからこそ、色々試着することが大切です。作っている人間でさえ、必ず試着しますので。
今回ご紹介したbloom pantsも、無地のシャツとスニーカーで合わせるだけで十分。
もちろん、デザインされたアイテムとあわせてもらっても構いません。主張するときは主張する、脇役に徹する時は徹する。万能な働きができます。
皆様の好きな色に染めてもらえればと思いますので、色々と試してみてください。
小規模で無名ブランドではありますが、自信を持ってオススメさせて頂きます。
是非、お試し下さい。
今回ご紹介したパンツはコチラです↓
multiple core マルチプルコア cotton polyester mix light hickory denim side tuck bloom pants off white
multiple core マルチプルコア cotton polyester mix light hickory denim side tuck bloom pants Blue
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