岡山でジーンズを作るWorkersワーカーズ。デニムの素になる綿から薀蓄を語れる、数少ないワークカジュアルブランドの一つです。
1.中繊維(アップランド綿) アメリカ綿の採用
メーカー発表では「ベーシックにこだわる」と力説されているWorkersワーカーズのジーンズ。
世界の綿流通量の90%は繊維長が中程度(22.2~27.8mm)のアップランド綿です。その中でもアメリカ産を採用。超長綿のスーピマ(米綿)とは違いますが、オーガニックでなければ米綿もベーシック中のベーシックでしょう。
この米綿アップランドを大阪で紡績します(ムラ糸形状7番糸)。さらに広島でロープ染色、白芯に仕上げます。下染め、後染めなしと言いますから、一発染めです。今回のロットでは狙い通りの「青味」が強く出せたそうです。1washedですが、実際に見てもいい感じの青味が出ていました。
次に旧力織機によるデニムの織り。セルビッジにもタテ糸と同じインディゴ染めを入れ(青耳)、ギリギリの弱いテンション(織り傷が出る出ないの瀬戸際)で織った生機です。
*生機キバタ:防縮加工や毛焼きをしない、織ったままの生地。大きな特徴として水に通すと乾く際に大きく縮む⇒結果捩れる、毛羽が立つ性質です。
⇒1washed, タンブラー乾燥でこれらを落ち着かせてあります。
これらの効果で狙ったのは、自然な生地の風合い、ソフトで、凸凹していて、毛羽があって、青味が強くという結果でした。うまくいったようです。(綿産地、紡績、染め、織り、洗い加工のみ)
2.ディテール
当店に入った2型はLot 801 Straight Jeans, Lot 802 Slim Tapered Jeans。
デニム生地は同じで、縫製パターンと一部附属品が異なります。
上述の「青味の強いデニム」、「毛羽」、「シュリンクした革パッチと青く移染したスレキ=洗い加工+タンブラー乾燥」がお分かり頂けると思います。
↓ボタンフライトップ脇のVステッチは広めに開いた縫い。大戦モデルとは違いますね。1946年には広めに戻った仕様を踏襲。ボタンフライもオリジナルデザインです。
↓バックポケットの隠しリベットはLot801ストレート。バータック仕様はLot802のスリムテーパードとなります。
↓前ポケット脇のステッチは短め。大戦中のモデルはもっと雑で長さもマチマチでした。
(メーカーコメント転載)
Lot 801 Straight Jeansは膝巾・裾幅ともにクラシックなシルエット。クラシックと言っても、1940-50年代のジーンズを調べてみるとそれほど太くは感じません。若干深いまた上、幅の広いワタリ。これにより、ウェストで選ぶとよほどヒップが出ていない限り、フロントの股部分、縦に向かって皺が生まれます。これが体を動かしたときのゆとりになります。スリムテーパードでは少し洗練されすぎているなと感じる時。たとえばツイードジャケットの粗野な風合いに合わせたり。また、年と共にゆとりを持った服を着たいと感じる時。そして、本来のワークウェア的な使い方をしたいとき。そんな場面ではLot 801 Straight Jeansをお勧めします。
Lot 802は一見して801よりも細め。ただ、今回のデニムはコットン100%。ストレッチも入っていないので細すぎると動けなくなってしまいます。そこで、膝はある程度の寸法は確保しています。また、丈のセッティングは34インチですが、裾から10センチほど(レングス約30インチ)でシルエットは終わっています。裾上げをしても裾幅が変わらないようにという型紙です。細見のパンツはスウェットのようなカジュアルにも、またBD + フランネルのようなクラシックな風合いにも万能で似合います。
このワーカーズデニムは、旧来のジーンズの仕様を尊重しつつも、モノ作りを大事にして「ジーンズの形、パターン」を再考した真面目な仕事であるということが、お分かり頂ければ嬉しいです。
店舗名 Ashoes メンズセレクトショップ 亜洲’S アシューズ
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